不定期発行
4月12日号

原作 ルイ・ロペス
作画&管理 店主


キャベンディッシュ(歴史的考察)

ジャーマインのティスティングも大詰めとなり、おまけ的な位置づけで、顔付きデザイン缶のブレンドを取り上げようとしたが、再び引っかかる事に遭遇した。
その原因がキャヴェンディッシュ。
まったく、不勉強がたたってか、アチラコチラでつまずく。
まあ、素人の厚顔と言う事でサラリと流して話をすすめるが、その前にジャーマインのラインナップのおさらいをする。

ジャーマインのタバコは、シリーズ的な分類で整理すると、大きく三つに分けられる。
第一がミクスチャータイプで、メリーランドのキャベンディッシュを使ったロイヤルジャージ。
第二に、フレイクタバコを中心に据えたアイテム群。
このフレイクタバコの特徴はゴールデンヴァージニア使用(ただしブラウンフレイクは除く)
そして最後が、顔付きデザインのラインナップである。
この顔付きデザインのタバコ、その最大の特徴が「ブラックキャベンディッシュ使用」。
このブラックキャベンディッシュであるが、現在のパイプタバコの中では、着香タバコの代名詞的位置づけとなっている。
そんな経緯もあり、「顔つきデザイン缶」がジャーマインのアイテム群の中で、最も新しい時代のブレンドに位置すると、英国タバコの「ご愛敬的妄想三部作」の中で書いた訳だが、どうやらそうとも言い切れない状況となってきた。

今回の騒動で、発端となったのが顔付きデザインタバコの一つ「エイティ・トウェンティー」。
缶の表記が英語であった為気付かなかったが、タバコレビューで検索したところ、タバコの名前は「1820」、1820年と言えば、ジャーマイン創業の年である。
従ってこのタバコ、サミュエルガースの「1792 フレイク」と同じ意味合いを持つブレンドと類推できる。
さて、困った問題である。
そんな、極めて私的な理由もあり、どうしてもキャベンディッシュに触れざるを得ない状況になった次第であります。
ダラダラとした言い訳は、この程度でやめる事として、まず最初にキャベンディッシュの名前の由来から入ろう。

カタログの説明によれば、キャヴェンディッシュは、英国の貴族の名前にちなんで付けられたものであるとの事だ。
その貴族とは、初代ニューカッスル公爵「ウィリアム・キャヴェンディッシュ」。
在世したのは1592年から1676年。
ずいぶん昔の話であるが、カタログによればキャヴェンディッシュタバコの製法はこの時代(1660年前後)、ニューカッスル公爵により編みだされたと言う事である。
他の原料タバコと比較してみると、ラタキアの1870年、ペリックの1790年よりずっと古い製法と言う事になる。

さらに時代考証を進めて行けば、アメリカ大陸でヴァージニアタバコの栽培が始められたのが1612年。
パイプ物語でも紹介しているように(スモーキング東京パート2参照)、イギリスで喫煙の主流としてパイプ喫煙が広まったのが1500年台の半ば。
ものの本を調べてみても、ロンドンにおいて、パイプ喫煙が「第八の芸術」としてもてはやされたのが、1500年台の末期(16世紀末)と紹介されている。
そう考えるとキャベンディッシュは、パイプ喫煙初期のイギリスにおいて確立された製法であると言う事になる。
なにかと着香タバコの代表者として、ベテランスモーカーから悪役視されるキャベンディッシュだが、何の事はない喫煙初期のイギリスを起源としたタバコであった事が判明した。
パイプ喫煙も奥が深い。
もっとも、ここで対象としているのは、甘味成分を添加したブラックキャベンディッシュ(スィートアロマ orフレーバー)ではなく、無着香(ピュア)である事は言うまでもないが。

そんな訳で「顔付きラインアップの新しいブレンド説」は撤回せざるを得なくなった。
と同時にキャベンディッシュに対す考え方も改めるべきだろうと判断した。
以上キャベンディッシュの歴史的考証はこの位で止めて置いて、タバコの味わいに関しての検証は、フルヴァージニアとの比較検証と言う形で、ティスティング本編に護る事としよう。

テイスティングノートでは、皆様のテイティング感想も掲載させて頂く予定です。
一銘柄ごとUP後に、当方までMailにてお寄せ下さい。
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